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療養上のお世話

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療養上のお世話

療養上のお世話

訪問看護では、患者様の症状を観察し、改善を図るほか、日常生活を気持ちよく送るためのケアも行います。例えば、以下のような患者様のケアを行います。

■排泄のケア
高齢になると排泄がうまくいかなくなる患者様が多くいらっしゃいます。多くの方が本人と同じように排泄をうまくできなくなっていきますが、患者様が排泄がうまくできないことを受け入れられず、紙おむつや介助されての排泄に拒否感を示すことがあります。訪問看護師等は、排泄に対するご本人様の感情を尊重したうえで、自立した排泄ができるようになることを目指してケアを行います。
■食事介助・指導、食生活に対する援助
食事をうまくできない場合の対応方法はいくつもありますが、まずは食事をうまくできない原因を探る必要があります。原因を探ったうえで、病状に合った食事の方法や献立を考えていきます。
■寝たきり、床ずれ予防
長期にわたって症状に苦しんでいたり、体に麻痺がある場合、床ずれなどの症状が生じている可能性があります。床ずれは、姿勢が動かないことだけが原因ではなく、栄養状態の悪さなどの原因も考えられるため、看護師が状況を判断したうえで、症状の改善を図ります。
■日常生活の自立支援
症状で苦しんでいる方が目指していくのは自立した生活です。症状だけではなく、排泄・食事などの改善も図っていくことで、自立した生活の支援を行っていきます。

清潔、排泄のケア

お身体を清潔にする基本は、洗顔、歯磨き、口腔ケア、身体の清拭、足浴、手浴、シャワー浴や入浴介助などです。寝たきりの方や、自力での移動が難しく家族も介助が困難な方、医療的観察が必要でヘルパーでは入浴・シャワーに不安がある方、退院直後の方などは、皮膚の観察や医療用カテーテルなどがあると安心感もあるようです。料金はヘルパーのほうが安いのですが、看護師の支援が必要な時期には看護師が訪問します。

排泄のケアでは、医師の指示により、便秘の時には浣腸や座薬による排便処置や、敵便などを実施します。便秘を繰り返す方の場合には、主治医に報告のうえ、下剤を処方してもらうなどの対応もします。そのため、下剤の服薬管理、指導、水分摂取の必要性など本人家族に指導すること、腸蠕動の確認や腹痛、腹部膨満がないかなどの観察も看護師として行います。排尿のケアでは、自己導尿の指導や、膀胱留置カテーテル、膀胱瘻、腎瘻などの管理、尿量、性状の確認、必要時には膀胱洗浄や膀胱留置カテーテルの交換もします。

食事介助、指導

食事の際には、まずは、家族による調理、配食サービスの利用、ホームヘルパーによる調理などの方法で食事を準備します。訪問看護師は調理して料理を作ることはできませんが、食事介助をすることはできます。

実際に食事をする際には、嚥下(飲み込み)の確認や食事形態があっているか、時間はどれくらいかかるのか、自分で食べられるか、介助が必要なのか、自助具が必要かなど、日々確認しながら介助を行います。変更が必要になれば状況をケアマネージャーに報告し、会議を開催し、かかわる多職種間で情報共有し必要なケアの変更をしていく必要があります。そのような働きかけをすることも看護師の役割です。また、食事だけでなく、体調不良による食欲低下、嚥下力低下による摂取量低下などに対して、低栄養にならないように栄養補助食品の助言や情報提供をすることも訪問看護師の役割です。

なお、楽しくおいしく食事をとることができるように、姿勢の調整や口腔内がきれいなことも大切であることから、食前に口腔内の確認、食後の歯磨きなども重点的に行います。

食生活に対する援助

適切な栄養の管理や食事の管理を行うことは看護の基本の1つになります。

利用者の方は一人ひとり健康状態や病気の種類も異なります。そのため、一人一人の病状にあった栄養、食事の指導が必要不可欠なのです。

加えて、ただ適切な栄養が取れる献立を用意すればいいというものではありません。看護を受ける上での食事というのは、治療の一つであるとともに、日常生活を営む上での楽しみでもあるのです。

したがって、訪問看護師が定期的な訪問の中で利用者の方の食事摂取量や嗜好を見極め、そのうえで適切な食事を考案することが重要なのです。また、自分での食事が難しい場合には、看護師による介助を行いますし、その他にも管理栄養士による食事の組み立てによって一人一人に合った援助を行います。

さらに、実際に食事をとる際のケアも重要です。訪問看護師は食事の補助をする際に、食べやすい姿勢のチェックや、口腔のケアを行い、食事の摂取が進むような状態を整えます。こうすることで治療をしながらでも食事の楽しみを最大限に味わうことができるのです。また、それらが整っていても、普段と違って食事が進まない場合や、食事量が少ない場合を注意深く観察することで、身体の不調がないかを早期に察知することができるようになります。

寝たきり、床ずれ予防

寝たきりや麻痺があると摩擦や、長時間の圧迫、病的骨突出、関節の拘縮、栄養状態が悪い、むくみ、汗をかきやすい、便・尿による湿潤が皮膚への刺激を起こすなどの原因により、床ずれを起こしやすくなります。

日々家族やかかわる多職種間で観察をすることが大切です。そして発赤など初期症状があれば早期対応が必要となります。対応方法としては、定期的に体位交換をする、体圧分散マットを使用する、スキンケア、まくらなどによる除圧など様々な方法があります。スキンケアについては主治医に報告し、指示のもと処置を行います。体圧分散マットやエアマットは、ケアマネージャーが担当者会議を開催し家族も含め多職種間で情報共有し、同じ方向性でケア実施していきます。

栄養補給も大切なため、食事が十分とれないときなどは、主治医に相談し高カロリーの飲料を処方してもらうこともあります。床ずれの程度によっては、主治医の指示により毎日処置に行くこともあり、床ずれを発生させないために、日々の予測と継続した皮膚の観察が必要となります。

日常生活の自立支援など

訪問看護では、生活の様子を観察し、本人の様子、話の内容、自宅の様子、関係事業所のヘルパーや、デイサービス職員から情報収集するなどして安全に生活できているかを確認します。また親戚の方がいる場合は、常に情報共有しておきます。

食事、排泄、清潔など当たり前のことができなくなるようなら、本人の家で暮らしたいという思いがあっても困難な状況であると判断することもあります。また、火の始末ができない、徘徊するなどの状況があれば事故防止のために早急な対策が必要であり、ケアマネージャーに報告し転居などの方法をとる場合もあります。

監護される方が認知症高齢者の場合には、訪問販売や電話による勧誘など、必要のないものを購入することもあり、それらの観察も必要になります。ケアマネージャーへの報告や、ケースに応じて成年後見人の制度を利用するなどの対策も必要となり、訪問看護師はそれらの制度についても学んで対応します。

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